青森県においての生活習慣病の現状
青森県においての生活習慣病の現状
Lifestyle Related Disease
かつては「成人病」と呼ばれていたが、時代の変化によるライフスタイルの変化から1996年に「生活習慣病」と呼ばれるようになりました。
生活習慣病は誰にでも発症する可能性がある病気です。正しい知識を身に着けておくことが予防の第一歩です。
この記事では以下の3点について解説しています
- 生活習慣病とは
- 生活習慣病の原因と予防について
- 生活習慣病は毎年死因の5割を占める
生活習慣病とは
生活習慣病とは、食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関与し、それらが発症の要因となる疾患の総称です。
引用:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット
生活習慣病になることで健康診断で再検査判定が下されたり、会社や職種によっては医師の許可がでるまで、業務に支障が出ることもあります。そのまま放置しておく事で通院が必要になり、長い期間クスリを飲み続けることもよくある話です。
重症化することで、心疾患や脳血管疾患で死亡になるまたは障害が残ることもあります。実際に青森県民の死因は生活習慣病と関わりのある病気が全国的にみても高い状態にあります。
生活習慣病の種類
がん(悪性新生物)
日本人の2人に1人の割合で「がん」が発症する身近な病気です。普通の細胞から発生した異常な塊となって進行し、組織を破壊します。青森県では胃がん、大腸がん、肺がんの3つが多い傾向です。(女性では乳がんや子宮頸がんも多い)
生活習慣と密接しており、よく言われるのが喫煙です。食生活の乱れやストレス(過労)も関係しておいて、消化器系(胃がんや肺がん)の危険因子と言われています。
心疾患
心筋梗塞・狭心症などが一般的に知られていて、心臓系の疾患です。全国的にも、がんに続く死因として常に上位に挙げられ、動脈の血流不足により、胸部の強烈な痛みがあります。主な原因は動脈硬化、脂質異常、高血圧があり、生活習慣病が重症化することで発症するリスクが高まります。
心筋梗塞は発作がおさまっても、心臓に負担がかかることで後遺症が残る可能性があると言われています。
脳血管疾患
脳梗塞・脳卒中が一般的に知られています。動脈硬化により脳血管が詰まることで脳梗塞が発症します。原因は血縁者に脳梗塞の人がいる場合や、高血圧、肥満、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、不整脈(心房細胞)などが関係します。 喫煙、飲酒などの生活習慣はリスクを高めるといわれています。
全国平均で見ても、喫煙率が高い青森県は死因率で常に上位にいます。
高血圧
健診基準値では最高血圧=140㎜Hg以上 最低血圧=90㎜Hg以下とされています。基礎疾患ですが、重症化することで死亡リスクが高くなります。原因として・・・
- 血液量の増加 野菜(カリウム)不足
- 血液濃度が上昇し、粘度が高い 水分摂取不足
- 末梢血管が収縮する 緊張(ストレス)状態
メタボリックシンドローム/肥満症
内臓肥満(ウエスト男性85㎝以上、女性90㎝以上)にその他の基礎疾患(高血圧・高血糖・脂質代謝異常)が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態を指します。
内臓脂肪は、吸収した栄養を最初に受け取る肝臓の処理能力に影響しやすいことから、健康リスクが高いと言われています。
糖尿病
- インスリンが出ない=Ⅰ型糖尿病(遺伝性)
- インスリンの効きが悪くなる=Ⅱ型糖尿病(生活習慣)
- 妊娠中に糖尿病と診断される(妊娠糖尿病)
心疾患や脳血管疾患に比べると少ないですが、全国で2番目に多いのが青森県です。ここ最近だと「糖尿病内科」の病院を見かけるようになりました。細胞膜の糖化や酸化ストレスにより、網膜症・腎症・神経障害の三大合併症をしばしば伴うと言われています。
脂質異常症
中性脂肪やコレステロールなどの脂質代謝に異常をきたし、血液中の値が正常域をはずれた状態(以下に記載)をいいます。動脈硬化の主要な危険因子であり、放置すれば脳梗塞や心筋梗塞などの原因となります。
- LDLコレステロール(悪玉)=140㎎/dl以上
- HDLコレステロール(善玉)=40㎎/dl以下
- 中性脂肪=150㎎/dl以上
鉄欠乏症貧血
鉄が不足すると、赤血球に含まれるヘモグロビンが減って酸素の供給が不十分になる事で発症します。集中力の低下や疲労感、頭痛肩こりなどが症状としてあります。
1回の月経で約30㎎もの鉄が失われると言われていて、ダイエットに影響を及ぼす、女性に良く見られる不定愁訴もあります。
骨粗しょう症
骨の代謝バランスが崩れ、もろくなった状態のことです。とくに高齢者に見られ、骨折しやすくなります。
ダイエットに直接影響を及ぼす事はありませんが、骨密度の低下に伴うQOL低下の観点から、ライフステージに応じた生活習慣の対応が必要です。
生活習慣病になる原因
食生活/栄養素
- 脂っこいものや味の濃い食事
- 麺類やパンなど炭水化物がメインの食事
- 野菜摂取不足
これらの栄養バランスに偏りがある食事は、糖尿病、高血圧、メタボリックシンドロームのリスクが高まります。
一般的に勘違いされがちですが、バランスの良い食事というのは1日に30品目の食材ではなく、「ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富に含む食事」を指します。
青森県では昔から塩分の摂取量が全国平均よりも高いと言われ続けています。県の塩分摂取についてのガイドラインでは「1日あたり8g」に設定されています。カップ麺1個で約6gなので、外食やコンビニで済まされる方はとくに摂取量が多くなりがちです。
運動
ここでいう運動とは「日常活動(仕事や家事)以外の運動」になります。運動習慣がない人の健康リスクとして・・・
- 栄養の摂り込みと消費の促進を低下
- 血液の循環が悪くなり、血圧と血糖が上昇
- 中性脂肪が増え、HDL(善玉)コレステロール値が増えにくい
- ロコモティブシンドロームの促進
ロコモティブシンドロームとは?
運動器の機能低下が原因で、日常生活を営むのに困難をきたすような歩行機能の低下、あるいはそれらの危険があることを指します。よって自立した生活が難しくなり、高齢者の介護のリスクが高まります。
特に青森県では冬場になると生活が一変し、運動がとても億劫になります。また、年間通して車の利用率が非常に多いため「歩行」する機会が少ないです。やはり運動不足の一番の原因は「運動することが面倒」という人がとても多い気がします。
このような部分も全国的に短命県と言われる理由なのかもしれません。
過度な飲酒
肝臓は体内に入ってきたアルコールを分解する臓器です。飲酒の習慣がある方が、病気になる・なりやすいというデータはありますが、お酒自体が生活習慣病に繋がるという根拠を示したデータはあまりないです。
なぜ飲酒と生活習慣病が関係あるかとういうと、
- お酒=糖質です。アルコールは栄養素吸収を阻害し、体脂肪の蓄積に繋がります。
- 肝臓に負担がかかる事で、肝機能障害のリスクが高まります。
喫煙
喫煙/受動喫煙による健康被害はいくつもの根拠がデータや論文などで示されています。全国的にみても青森県の喫煙率は常にTOP3内にランクインしていて、タバコに含まれる有害物質がそもそもの原因です。具体的には・・・
- がん(とくに肺がん)
- 循環器疾患(脳卒中、虚血性心疾患)
- COPD(慢性閉そく性肺疾患)
- 糖尿病
- 周産期の異常(早産、死産など)
歯・口腔の健康
虫歯や歯周病を放っておくと、口腔内の毛細血管から全身へ巡っていって、心疾患(脳梗塞など)や糖尿病の悪化、気管支系疾患(肺炎など)のリスクが高まります。
その進行はまず、プラークや歯石の付着、歯列の異常、歯ぎしりなどにより歯周ポケットが形成されます。やがて歯槽骨が溶かされるため、歯がグラグラ動き出し、最終的には抜け落ちてしまうこともあります。歯を失うことで食事に対するストレスが大きくなることも考えられます。
生活習慣病の予防のために
生活習慣病を防ぐためには、どの情報をみても最終的にこの2つの早期行動に限ります。
- 生活習慣の改善(一次予防)
- 定期的な治療と健診(二次予防)
喫煙や肥満と同様で重症化するまでほとんどの場合、症状が出ないので「面倒だから」という理由で後回しにしたり、症状が出てから病院に行く人が非常に多いです。
生活習慣の改善の為に私たちができる事
栄養/食生活で取り組んで頂きたいこと
- 体重をはかり、適正な体重を維持する
- 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日3回
- 食塩の摂取量は1日8g以下
身体活動/運動で取り組んで頂きたいこと
- 運動する習慣をつけましょう
- 運動の基本は歩くこと
喫煙に関する取り組んで頂きたいこと
- 禁煙しましょう
- 未成年や妊婦は喫煙しない
- 受動喫煙防止に取り組みましょう
歯・口腔の健康を維持する為に取り組んで頂きたいこと
- 定期的に歯科検診を受けましょう
- 正しいブラッシング方法で歯磨き
ストレスと睡眠
個人的には「ストレスフリー」と「十分な質の良い睡眠」は外せません。
これらのバランスが崩れる事で自立神経が乱れ、暴飲暴食や喫煙・飲酒などの原因になるパターンが多いためです。
あなたの健康は自分でしか改善できません。しかし、病気は自分にだけ害をもたらすのでなく、周りの人にも影響を与えます。
- がんばりすぎずに、時には会社や家族で協力し合う
- 疲れたら休んでください
- 趣味に没頭する時間を作る
生活習慣病は死因の5割を占める
青森県では「がん・心疾患・脳血管疾患」の死因が半数以上を占めます。下の表は青森県の死因ごとの死亡率と全国順位を表したものです。
下記は古いデータですが、75歳未満のがんにおける死亡率では「青森県男性」の死亡率の割合が圧倒的に高いです。とくに50歳を超えてからが多いようです。
青森県の生活習慣病に関する通院医療費のデータです。
各データから見てもわかるように、生活習慣病はとても身近な病気だということがお判りいただけましたでしょうか。
生活習慣病を予防するには生活習慣の改善(1次予防)と定期健診と早期治療(2次予防)が最良の策です。生活習慣病について知識を持つことや、普段から予防を意識して生活するなど、自身の健康づくりに取り組むことが大切だといえるでしょう。
“青森県においての生活習慣病の現状” に対して1件のコメントがあります。